設定はツイプロ。設定ぽい物語風。
物心ついた頃、既に周りにいるのは“ししょー“1人だけだった。だけど、ヒナにとってそれは当たり前のことで、両親なんてものは知ることも無かった。
「俺は、お前の“ししょー“だ」
- 3歳 -
初めて『魔法』に触れる。ししょーがモンスターを倒す。火や水を操り、攻撃する場面をヒナは食い入るように見ていた。
魔法の記憶はここから始まる。
「いいか?魔法は、いろんなものがある。傷つけるもの、仲間を支援するもの、回復させるもの…だけど、間違っても悪用しちゃいけない。…今は分からないだろうがな」
「しちゃ(ししょー)…まほー……?」
- 5歳 -
1人で歩き、少しずつ出来ることが増え始めた頃、魔法の修行が始まった。
魔法の使い方や使い道など…座学と実践的な修行。始めたての子供が出来るようなことではないのは誰から見ても明らか。
「ううぅぅ…なんで……!まほー…!」
出来ないと分かっていてもししょーは、修行を続けさせた。
山の中で、人が通ることもなく、モンスターも寄り付かない…そんな場所での修行にししょーも油断していた。
目を離していた隙にヒナが剣を持ったモンスターに襲われた。まだヒヨっ子で魔法も使えないような子供に抵抗できるはずもなく、泣き叫ぶヒナの声に気づき、戻った頃には血を流し、泣き続けるヒナとモンスターが。
慌ててモンスターを追い払うが、ヒナは泣きっぱなし。
「ひなっ…!」
「…っししょ…!痛いよお!!…うああぁぁん!!」
幸いにも傷はそこまで深く無かったものの、ヒナの心にはトラウマとして遺り、精神的なショックで精神年齢が止まってしまった。
そこから2年、毎日2人で修行を繰り返した。毎日同じ日々。だけど、ヒナにとっては最高の毎日だった。
修行を見てくれてると思ったら居眠りをしていたししょーを起こしたり、たまに2人で昼寝をしたり…何でもないようなことが幸せだった。
- 7歳 -
ヒナは一通りの身の回りのこと、基本的な魔法が出来るようになっていた。
いつもと同じ朝、ししょーは神妙な面持ちで座っていた。
「…ひな、お前の両親は死んだんだ…だけどな、お前のことは大切にしてたんだ…」
「りょうしん…?」
「…そうだ。両親の代わりに、お前は真っ直ぐ、元気に生きるんだ。」
「…?うん!ひな、元気!!」
泣きそうな顔で笑うししょーに大事な話なんだと内容を理解しようとした。
両親の記憶が無いヒナには到底理解の出来る話では無かったが、いつだってししょーの話は素直に聞いていたから。
次の日の朝、ししょーは姿を消していた。
「……ししょー…?」
- 10歳 -
一人ぼっちになってしまったヒナは、毎日ししょーを捜しながら色々な国を旅していた。
初めて見る人、初めて見る景色、善人、悪人、多彩な種族…そのどれもがヒナにとっては真新しいものだった。
ししょーに言い聞かせられてきた“悪いこと“を間近で見て、我慢出来ず口が出て危ない目にもあった。
それでも、毎日ししょーを捜すために国を渡り歩く。今日も明日も。
「ひな、ししょー捜してるの!…どこかで見てない?」