エリザベータとアレクサンダー1 みんなの気持ち 

4e6dd022f7b780c86304383ef7b1a3f2 柊谷 信乃さんからのエピソード

エリザベータはエルウェス王国を観光することにした。アレックスに案内を依頼し、城内を散策すると、見たこともないような剣が2本あった。


私、エリザベータです。今回はせっかくエルウェス王国に来たので、少しお時間をいただいて観光することにしました。

エリザベータ「アレックス、よろしければ城内を見学させてください。」
アレックス「わかった。俺についてきてくれ。」

城は私たちのものとさほど変わらない広さ。太陽の光が差し込み、城内は暖かさを感じます。

アレックス「他の城と対して変わらないと思うぞ。」
エリザベータ「私の城とは違いますよ。この国が暖かい地域であることもそうですが、窓の解放感は羨ましいです。私の城は雪の重みに耐えるために窓を小さめに設計してあるのです。」
アレックス「そう言うことか。ところで、ずっと気になっていたんだが……」
エリザベータ「え?」
アレックス「その胸のブローチは、ひょっとしてローレンツが手掛けたものじゃないのか。」
エリザベータ「どうしてそれを……?」
アレックス「やっぱりそうだったんだな。この間ローレンツから設計図を見せてもらったから思い出せたんだ。」
エリザベータ「アレックスも持っているのですか?」
アレックス「いや、俺の分はない。嵌め込まれているその石はかなり貴重なものらしくて、2つ作るのが限界だったらしい。」
エリザベータ「そうだったんですね。これ、持ってみてください。」
アレックス「ああ……持ってみたが。」
エリザベータ「色が変わりませんね。今はとくに何か感情を持っているわけではないみたいですね。」
アレックス「確か、興奮すると黄色に、幸せなときは緑色になるんだったか?」
エリザベータ「その通りです。あとは、怒ると赤く、恥ずかしいと桃色になりますね。」
アレックス「恋をすると紫になる、と言うのはなかったか。」
エリザベータ「ありますね。私は見たことありませんが……」
アレックス「少しの間俺に貸してくれないか?試したいことがあるんだ。」
エリザベータ「構いませんけど……どうするんです?」
アレックス「近頃やけに部下の視線が気になってな。どんな気持ちで俺を見ているのか知りたいんだ。緑色に輝けば俺としても嬉しいんだがな。」
エリザベータ「案外ピンクかもしれませんよ!?」
アレックス「……いや、ないだろう。」
エリザベータ「特にエミはその気がありそうですけど。」
アレックス「そうか?まあ物は試しだ。お前もついてきて良いから、俺に貸しといてくれ。全員を見たら返す。」
エリザベータ「ふふっ、良いですよ。私もよくそうしていますから!」

アレックス「ミランダ。」
ミランダ「まあ、アレックス様!どうなさったんです?」
アレックス「エリザベータからこれを貸してもらった。持ってみてくれ。」
ミランダ「うふふ、わかってるんですよ、私たちの気持ちを知ろうとしてくださってること。アレックス様は普段感情を見せませんけど、このミランダが申すのです、間違いありません。きっと私が持っても緑色に輝くことでしょう。」
エリザベータ「アレックス、試してみてくださいな。」
アレックス「一旦手に取ってくれ。」
ミランダ「は、はい。」
するとどうでしょう!私のピュアブローチが紫色に光っちゃいました!あら!
アレックス「おや?これは……」
ミランダ「ち、違うんですアレックス様。これはその、あれです、石の不具合です!」
アレックス「そうなのか、エリザベータ?」
エリザベータ「そんなわけないじゃないですか。私はミーシャに何回も試してます。それに、ミランダの反応もそれらしい反応じゃないですか。良いんですよ、ミランダ。誰にでも恋に落ちる権利はあります。誰が最後にアレックスの隣にいられるかは別なんですけど。」
ミランダ「は、恥ずかしいです……」
声に呼応するようにピュアブローチが桃色に輝きました。
エリザベータ「なんですか、全然調子悪くないじゃないですか。」
アレックス「そうか……少し軽率だったな、すまないミランダ。」
ミランダ「……もう、これは返します。エリザベータ様、ありがとうございました。アレックス様、また今夜私とお話ししてくださいね……約束ですよ?」
アレックス「わかってる、必ず行くよ。」

エリザベータ「想われるって素敵なことですね~。」
アレックス「……ひょっとしてからかっているのか?」
エリザベータ「はい。あなたもそろそろ覚悟を決めた方がいいかもしれませんよ。」
アレックス「お前、思ったより度胸あるな……もう一度持ってみろ。」
私はアレックスから一旦ピュアブローチを返してもらいました。……黄色く光りました。
アレックス「楽しんでいるようだな。」
エリザベータ「はい!その感じだと女の子は全員あなたに恋をしているかもかれませんしね!」
アレックス「なんと言う悪趣味だ……!」

エリザベータ「お次はジェドですか。」
アレックス「あの感じを思うと、女の部下に試すのは怖くなってきた。男同士ならなにも起こらないと思ってな。」
エリザベータ「どうでしょう?」
アレックス「やめてくれ……!」
エリザベータ「ジェド、これを持ってみてくださいな。」
アレックス「……」
ジェド「アレックス様、いかがなさいました?」
アレックス「いや、なんでもないんだ。さあ、ピュアブローチを見せてくれ。」
ピュアブローチは青いまんまでしたよ。
アレックス「そうか、ありがとう。」
ジェド「いったい何のこっちゃ。」
エリザベータ「実は……」
私はジェドにすべてのいきさつを話しました。とは言え、ミランダのことはさすがに伏せておきましたが。
ジェド「それで、アレックス様はせっかくなので私たちの気持ちを汲み取ってくださろうとしていたわけですな。このジェド、感激いたしました。」
エリザベータ「どうぞ。」
ジェドがピュアブローチを受けとると、緑色に輝いた。
アレックス「ありがとう、ジェド。」
ジェド「良いんですよ。これからも私はあなたに誠心誠意仕えます。」

アレックス「やっぱりジェドは裏切らなかった!」
エリザベータ「それだと純真にあなたを想うミランダの言われようがかわいそうです。」
アレックス「しかし、部下と上司がなぁ……」
エリザベータ「私の兄も部下同然の女の子と婚約しましたよ。女の子と言っても、私より年上ですけどね。」
アレックス「いや、そういう事例があるのはわかるんだが、俺はまだ結婚したくない。」
エリザベータ「何を言ってるんですか、誰も結婚してあげてとは言ってませんよ。ほら、サマンサがいますよ!」
アレックス「頼む、サマンサ……!」

サマンサ「アレックス様、怖い顔しないで。ほら、むにむにーっ。あははははは!」
アレックス「何すんだ……!」
エリザベータ「これを持ってアレックスを見てください。」
サマンサ「はいはい、持ちました!」
エリザベータ「緑色ですね、今幸せですか?」
サマンサ「あはっ、占いみたいなこと言うんですね、エリザベータ様って!やだなーもう、幸せですよ!」
アレックス「ありがとう、サマンサ。」
サマンサ「どういたしまして!もうちょっとでキルラのとこ帰るけど、あと少しよろしくね!」
アレックス「ああ。」

エリザベータ「サマンサはさすがに動じませんでしたね。さすがキルラのいとこです。」
アレックス「もはやあいつは友だちだからな。」
エリザベータ「あっ、エミですね!エミー!!」
エミ「エリザベータ様……と、アレックス様!」
エリザベータ「えへへ、お城のなかを案内してもらうついでにこのブローチを貸していたんです。エミも持ってみましょう。」
エミ「えっ、いや、私は……いいです。」
エリザベータ「一旦アレックスに渡します。」
エミ「!」
アレックス「エミ……このブローチは、何事もなければ青いままなんだが、気持ちを読み取る効果がある。お前になにも隠し事がなければ青いままのはずだが……」
エミ「えっ、ちょっと待ってください。なんですか、それは!」
アレックス「興味が出てきたか?エリザベータが特別にかしてくれるそうだ。付けてみろ。」
エミ「えっ、ちょっと、あ、あうう……」
アレックス「なっ!?」
エリザベータ「あーあ……」
エミ「えっ、何があーあなんですか!?」
アレックス「まあ、お前に関してはこんなものがなくてもわかっていたがな。」
そうなんです。エミに渡したピュアブローチは紫色に光っちゃいました!これはアレックスもわかっていたみたいですけど。
エミ「色、変わっちゃいました……」
エリザベータ「正直に話せば良いじゃないですか?」
エミ「……」
アレックス「すまないな。」
エミ「へ?」
アレックス「長い間キルラのもとでの派遣、お疲れさま。どうやら疲れているようだな。」
エミ「いえ、そんなことは!」
アレックス「無理をするな。丈夫なお前だからこそちゃんと休まなきゃダメだ。」
エリザベータ(アレックス、エミに気を使ったんですね。敢えて、わかっていてもエミの恋心には触れないんですね、さすが。エミのタイミングに委ねるわけですか、ミランダの時の教訓が活かされてます。)
エミ「3年間もこの場でアレックス様をお守りできなかった私に、そこまで気を配ってくださるなんて……私、あなたの部下で本当によかったです。」
アレックス「エミ……」
エミ「お言葉に甘えさせていただいてよろしいですか?」
アレックス「そうしてくれ。」
エミ「では、お先に失礼します。エリザベータ様、ありがとうございました。こちら、お返ししますね。」
エリザベータ「お役に立てたのなら幸いです。」

アレックス「全員を知る必要はないとわかった。もうブローチをつけてしまって良いぞ。ありがとう、エリザベータ。」
エリザベータ「よろしいんですか?」
アレックス「ああ。やっぱり俺自身の心で部下に気を配れなきゃ意味がない。そのブローチを俺は少しも使いこなせなかった。」
エリザベータ「そんなことはないんですよ。アレックスの気持ち、皆さんに伝わったと思います。ほら、元気だして!」
アレックス「今の激励……キルラの影響を受けただろ。」
エリザベータ「そうかもしれません!」

私はピュアブローチのおかげで、アレックスと仲良くなれた気がしました。それにしてもアレックス、ずいぶんと女の子にモテるんですね!


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