幼なじみのお返し 

365d546ac427fab70ded22773232b3fb ポテ郎さんからのエピソード

咲音ちゃんがホワイトデーに貰ったお菓子のお返しを出くんに渡す話。この話は「イベントに便乗してお菓子をねだりに来る幼なじみ」の3日後ぐらいの話です。


「出くん!はい、これ!」
咲音がそう言って差し出してきたのは、四角いチョコにはめ込まれ、可愛らしい形を象ったアイシングクッキーだった。
「...もしかしてこれ、クラゲか?」
「正解!ホワイトデーに出くんキャラメルくれたでしょ?お返ししたいなあと思って昨日作ってきたんだ!いやぁ、アイシングで触手作ろうと思ったらすぐ折れるから、チョコの上に描く発想に辿り着くのに時間がかかったよ!」
「すげえ、意外に器用なことするんだなお前...でもあれそんな高価なもんでもなかっただろ」
あの日俺があげたのは、そこらのコンビニでも売ってるようなキャラメルだ。日頃の感謝を伝える為とはいえ、ホワイトデーにプレゼントなんてどこか小っ恥ずかしかったから安っぽいものを選んでしまったのだ。
「私が嬉しかったのはキャラメル本体というよりは、素直じゃない出くんがこっそり込めてくれたメッセージの事だよ?」
「...何のことだか。」
にやりと笑いながら言われ、思わずそっぽを向いてしらばっくれてしまった。まさか咲音がキャラメルを渡す意味を知ってるとはな...いや、たまたまだから別に恥ずかしいことはないはずなんだけど。
「じゃあ改めて、これあげる!」
「え、これ貰っていいのか?てっきり見せるだけかと」
「なんで作ったお菓子を見せびらかして終わると思ったのさ、ちゃんと食べてよ!」
そうか。綺麗で可愛いから食べるという発想が抜けてしまっていた。
「じゃあ、有難く貰うよ。...ほんとすげえな、色味も形も綺麗だ...これいつまで保存効くんだ?」
「手作りだし保存の為の工夫とか一切してないから出来ればすぐ食べて?」
スマホで写真に収めながら聞くと、残念な答えが返ってきた。とっておきたいけど、早く食べないとダメになってしまう...。
「勿体ない...このクラゲを俺の手で殺すなんて...」
「出くんって1番好きな物のことになると途端に馬鹿になるよね。大丈夫だから早く食べて」
そう言って咲音は、クラゲクッキーを包んでいた袋を開け、俺の口に突っ込んだ。
「むぐ...ん、美味しいな。甘いしサクサクふわふわしてる。」
「やっぱり?私も味見した時思ったよ!私凄くない?凄くない?」
「そう言われると褒めたくなくなってくるな」
「ひどい!天邪鬼め!」
咲音に怒られてしまった。まあいつもの冗談の言い合いだから心配はいらないが。
...クラゲクッキーが無くなったのは悲しいが、優しい味はしっかり覚えたからよしとしよう。


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