在りし日の… 

Missing thumb 日溜りのハコニワさんからのエピソード


「ふふ、そうなのね」
「ああ。今回はベルが手伝ってくれたから上手くいったんだ。な、ベル?」
「…で、でも…暴発しちゃ、っ、たし…」
「いいんだよ。ベルが頑張ったのは私が一番よく知ってる」
「……クロー…」

3人で庭で暖かな陽の中で談笑をする夢。ああ、これはあの時の。
彼女がまだ生きていて平和だったあの頃の記憶か。
私の後ろに隠れたベルナール。
その様子をクスクスと笑う彼女。
そうだ。あの時は森に現れた魔物の討伐で。
隙が生まれてしまった私を庇うようにベルナールが魔術を放ち守ってくれた……
しかし暴発で周りに被害が及び隊長にこっぴどく怒られていた。
しかし臆病な彼が自ら身を挺して、そしてあまり得意ではない炎魔術を発動して私を守ってくれた。
彼の頑張りは私がよく知っている。
上がなんと言おうと彼は立派な魔術師なんだ。

「…もっと胸を張れ。私を守ってくれたじゃないか。」
「…ぁ、う、でも…」
「暴発は気にするな。私にだってある。」
「…クローにも、あるの?」
「ああ、あるさ。上級だって万能じゃない。たまには失敗する。」

だから気にするな。とベルナールの頭を撫でるともう子供扱いしないでと返ってくる。
そうだ、もうベルナールも18だ。
そろそろ進級試験を受けさせても良い頃かもしれない。
今度隊長に相談してみるか。

「お話しはいいけれど…せっかくお茶を淹れたのよ?冷めてしまうわ」
「…あ、ああ、すまない。フロランス…」
「…僕も、飲んで良い?」
「なに遠慮してるのよ!クローヴィスとベルナールが頑張ったご褒美よ!」

彼女は笑う。太陽のように。
眩しくて、それでもずっとその太陽を見ていたくて…
絶対に喪いたくなかった…のに。

女神は優しくなんて無かった…。


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